仕事における「適応(adaptation)」とは、変化する環境の中で自分の能力を活かし続ける力のことです。キャリア理論の分野では、サヴィカス(Savickas)の「キャリア適応理論(Career Adaptability)」が広く知られています。
この理論は、職業的な変化や不確実性に対応するための心理的資質を4つに整理しています:
1. 関心(Concern):未来を見通す力
2. 統制(Control):自分の行動を選択する主体性
3. 好奇心(Curiosity):未知を探る意欲
4. 自信(Confidence):挑戦を支える自己効力感
これら4要素が高い人ほど、環境変化に柔軟に対応できるとされます。
一方、環境要因も無視できません。キャリア形成は個人だけでなく、職場文化・上司のスタイル・社会制度といった外部要素の影響を強く受けます。たとえば、同じスキルを持っていても、組織の心理的安全性や評価制度によって成果の出方は大きく異なります。
適応とは「変化に合わせる」ことではなく、「自分と環境の関係を設計し直す」こと。この視点は、VUCA時代のキャリア開発やリスキリングにも通じます。自分の特性を理解し、環境との“相互作用”を見つめることが、持続可能な働き方を支える鍵となるでしょう。