#### はじめに
「自由に描いていいよ」と言われて、手が止まってしまったことはありませんか。
一方で、ぬりえのように枠線があると、不思議と筆が動き始める。
決められた形の中でも、選ぶ色や塗り方で、その人らしさがちゃんと表れるからです。
創作や学びにも、これとよく似た構造があります。
日本の伝統的な考え方である「守破離(しゅ・は・り)」は、まさにその仕組みを教えてくれます。
守破離とは、**型を守り、破り、離れる**という三つの段階を通して、自分の道を見つけていく考え方です。
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#### 守・破・離とは
– **守(しゅ)**:まずはお手本をまねて、型を身につける段階。
– **破(は)**:型を理解したうえで、自分なりの工夫や変化を試す段階。
– **離(り)**:型から離れ、自分の感性で自然に動ける段階。
たとえばぬりえも、最初は「はみ出さないように塗る」ことを意識します(守)。
慣れてくると「空の色をピンクにしてみよう」と遊び始めます(破)。
やがて、自分で線を描き足し、まったく新しい絵になる(離)。
守破離の流れは、武道や茶道だけでなく、絵・音楽・仕事・子育てなど、
あらゆる創造や成長のプロセスにあてはまります。
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#### 型があるから、自由になれる
「型にはまりたくない」と思う人もいるかもしれません。
でも、型があるからこそ安心して表現できることもあります。
真っ白なキャンバスは、可能性に満ちている反面、少しこわいものです。
どこから始めればいいのか分からない。
一方で、枠線があるぬりえなら、どんな色を選んでも“正解”になります。
同じ型の中でも、100人いれば100通りの作品が生まれる。
教育やデザインの研究でも、**完全な自由より、ほどよい制約があるほうが創造性は高まる**と言われています。
枠があることで、安心して「試す」ことができるからです。
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#### 守破離とセルフデザイン
HARMONEERが大切にしている「セルフデザイン(自分を形づくる)」という考え方も、
守破離の流れとよく似ています。
1. **守** — まずは、世の中の型や他人のやり方を受け入れてみる。
2. **破** — 自分の違和感や発見から、少しずつ形を変えてみる。
3. **離** — 外の型を越えて、自分のペースや表現を見つける。
それは、「型を壊す」ことではなく、「型と一緒に成長する」こと。
ぬりえの枠をなぞりながら、自分の色で世界を広げていくようなものです。
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#### 調和という、もうひとつの自由
HARMONEERのテーマである「調和」は、
「型」と「自由」の間に生まれるものです。
誰かが作った枠を守ることも、
自分の感性で新しい形を描くことも、
どちらも大切な表現の一部。
そのバランスを探し続けることが、私たちの創造であり、生き方そのものです。
> 「ゼロから創作できない人でも、型があれば、自分なりにクリエイティビティを発揮できる。
> 守破離。誰でもマネから始まる。」
> — HARMONEER Philosophy
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#### おわりに
私たちは、誰もがどこかで「ぬりえ」をしているのかもしれません。
社会という大きな枠の中で、自分の色を塗りながら生きている。
大切なのは、枠を拒むことではなく、
その中で**どんな色を選び、どんな調和を描くか**を楽しむこと。
型があるからこそ、自由になれる。
その気づきの先に、あなた自身の「ハーモニー」が生まれていきます。
【出典】参考文献:TeuxDeux Blog『Shu-Ha-Ri: The Secret to Mastering Anything』(2023)、Richard Kimbell『Creativity: A Framework for the Design Problem Solving Discourse in Technology Education』(2012)