朝の通勤路。いつもと同じ電車、同じ景色。けれどふと、「この先、どこへ向かっているのだろう」と思う瞬間があります。
目標を立て、努力を重ね、結果を出す。私たちは長く、そうやって生きるように教えられてきました。けれど、目的地にたどり着くまでのすべてを「準備」として扱うと、人生のほとんどが「まだ途中」になってしまいます。
宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』でこう語りました。
「何が幸せか わからないです。ほんとうにどんなにつらいことでも、それが正しい道を進む中の出来事なら、峠の上りも下りもみんな、ほんとうの幸福に近づく一足づつですから」
この言葉を読むと、“途中”であることそのものが、すでに幸福の一部なのだと気づかされます。
アメリカの思想家ラルフ・エマーソンも同じように言いました。
“It’s not the destination, it’s the journey.”(大切なのは目的地ではなく、その旅路だ)
そして心理学者カール・ロジャーズはこう語ります。
“The good life is a process, not a state of being. It is a direction, not a destination.”(良い人生とは、状態ではなくプロセスであり、目的地ではなく方向である)
私たちが「幸せ」を求める姿は、まるで音楽を聴くようなものです。曲の終わりを目指して聴くのではなく、音と音の間に流れる“今”を味わう。
HARMONEERの世界では、この“途中の音”を大切にします。山の稜線のように、まっすぐではない道のり。ときに迷い、立ち止まりながらも、自分のペースで調和を探す時間こそが「生きている証」。
成果が出ない日も、自分に自信が持てない夜も、そこに息づく「未完成の美しさ」に気づけたなら、あなたはもう、調和の旅の真ん中にいるのです。