はじめに
個人輸入を考える人の多くは、最初から「海外の薬が欲しい」と思っているわけではありません。
むしろ、「病院に行きにくい」「時間がない」「相談しづらい」という現実の中で、やむを得ず個人輸入という選択肢にたどり着く人が少なくありません。
本記事では、厚生労働省や総務省の公的データをもとに、日本の「受診しにくさ」を可視化します。
1. 医療費とアクセスの地域格差
医療機関の分布
厚生労働省「医療施設調査」によれば、人口10万人あたりの一般診療所数は地域差が大きい。東京都が約105施設に対し、青森県では約63施設と約1.7倍の差がある。医師数も都市部に偏在。
出典:
厚生労働省「令和5年 医療施設調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/mr05/dl/gaikyo.pdf
総務省統計局「人口推計(令和5年)」 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html
2. 経済的な「受診抑制」
厚労省「国民生活基礎調査」によると、約3人に1人が「経済的理由で受診を控えた経験がある」と回答。単身世帯や非正規雇用者に多い。
出典:
厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html
3. 勤労時間と診療時間のミスマッチ
総務省「社会生活基本調査」によれば、フルタイム男性の平均就業時間は1日約8時間50分。多くの診療所は17時台に閉まるため、受診が難しい層が発生。夜間・休日診療所は都市部偏在。
出典:
総務省「令和3年 社会生活基本調査」 https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.html
厚労省「医療計画の見直しに関する検討会」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33507.html
4. 性・年齢による「受診しづらさ」
厚労省「国民の健康意識に関する調査」では、30〜40代男性の約4割が「性的健康や生活習慣に関する相談をしたことがない」と回答。「インターネットで情報を調べることはある」は約8割。
出典:
厚労省「国民の健康意識に関する調査(令和3年度)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24788.html
5. 高齢化と独居化
独居高齢者の約2割が「通院支援者がいない」。交通インフラ縮小で“医療過疎”が進む。
出典:
厚労省「地域包括ケアシステム研究会」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html
まとめ
医療機関・医師の地域偏在、経済的受診抑制、勤務時間とのミスマッチ、心理的バリア、高齢化・独居化が重なり「受診できない層」を生む。個人輸入は、現実的なセルフケアの手段として機能している。