はじめに
個人輸入を選ぶ人々は、どんな理由で、どのように行動しているのか。金沢大学・木村和子氏らの全国規模調査をもとに要点を整理し、何が足りないかを考察する。
1. 調査の概要
2020年度、厚生労働科学研究費による全国18,000人規模のインターネット調査。個人輸入経験者を抽出して詳細分析。
出典：厚生労働科学研究「ライフスタイルドラッグの個人輸入に関する研究」最終報告書（2020年）
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2020/202025001B.pdf
2. 調査の主要結果
・経験者割合：約10.4％（男性7割、40〜50代中心）
・動機：価格（約47％）、手軽さ（約41％）、恥ずかしさ・時間・費用を回避
・利用薬：ED、AGA、ダイエット、美容ホルモンなどQOL系
・副作用認識：約2割が症状経験、うち6割が今後も継続意向
出典：分担研究報告書
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202025001B-buntan1%2C1.pdf
3. 医師による個人輸入の実態（2023）
対象：美容系領域の医師177名。
結果：33.9％が個人輸入経験。主因は価格差・国内未承認。最頻はボツリヌス毒素注射薬（約25％）。欠陥経験18％、その7割が安全性・有効性に疑念。
出典：社会薬学 第42巻第2号（2023）
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsp/42/2/42_53/_article/-char/ja/
4. HARMONEERから見た補完視点
・購買行動データ（流入～再購入）
・地域格差の可視化
・羞恥や安心感など感情データ
・継続利用と離脱の違い
まとめ
研究は重要な一次資料だが、行動継続性・感情・デジタル環境との接点は不足。民間の一次データで補完する余地がある。